2月3日(月) 雨
昨夜から激しい雨が降り続いている。
今日はミルフォードサンドをクルーズして、クイーンズタウンに戻る予定だが、この天気では何も見えないだろう、と思っていると、「クルーズはありません」とガイドから伝わった。
いつの間にか、ロッジに車が続々と集まって来ていた。キャンピングカーが多い。
『大雨洪水警報』が出て、ミルフォードサンドに滞在している人が全てここ『マイター・ピーク・ロッジ』に避難してきたのだった。旅行客約150名。他にこの地区で働く人達約200名。その中には、車で旅行していた3組の若い日本人家族もいた。
私達のいるこのロッジは、川から離れている高台で、この辺りで一番安全な所だということだった。
『デジタル・デドックス』もこういう時は困りもの。 ここではスマートフォンは使えず、情報が全く入ってこない。ラジオやテレビもない。
2台ある公衆電話だけがここから外に連絡する手段だった。旅行の変更等を連絡する人達で電話は長蛇の列だった。
地元の災害対策チームの人が「ここから外への道が寸断されています。水と食料は充分にあります。」と食堂で状況を説明した。この時初めて、私達はこのロッジに『閉じ込められた』事を知った。
私達は閉じ込められたにもかかわらず、緊迫感もなく、この広間で時間が過ぎるのを待っていた。
飲み物はセルフサービス。 途切れることなく補充されていた。時々パウンドケーキやクッキーの類が出てきた。
ワカメのインスタント味噌汁と煎茶はどのロッジにあった。オーストラリア人も「気に入ってるよ」と言ってよく味噌汁を飲んでいた。
雨は絶え間なく降っていた。
私達は昨夜の部屋に戻った。「シャワーは今晩は我慢して下さい」とロッジの支配人から伝わった。
夕食はサンドウィッチ。避難して来た人達にも飲み物とサンドウィッチが提供されていた。彼らは広間にマットレスを引きつめて、床にごろ寝を強いられていた。
こんな事に遭遇するとは。異常気象は世界どこでも起きている事、を実感する忘れられない旅になってしまった。